<関連記事>
ホリネズミが「農業」、地下トンネルで作物を育て食料に、研究農業を営むのは、人間だけとは限らない。例えばハキリアリは、切り落とした木の葉を巣に持ち帰り、そこで菌類を育ててエサにしている。腐った木の中で菌類を育てる甲虫もいる。あるスズメダイの仲間は、好物の藻が生える場所の手入れをし、好ましくない藻が生えてきたら引き抜くという。
ナントウホリネズミ(Geomys pinetis)という小さな哺乳類も、植物の根を管理し、肥料を与え、食べるために収穫していることを示す証拠が見つかった。
「ナントウホリネズミは、植物の成長を助け、土壌を改善し、農作物の管理を行っています。農作物の管理を農業と呼ぶならば、ホリネズミは農業を営んでいると言ってよいと思います」と、米フロリダ大学の生物学教授で、研究に携わったフランシス・ジャック・プッツ氏は言う。
地下のスペシャリスト
ナントウホリネズミは、一生のほとんどを地下で過ごし、単独で行動する。北米と中米の草原に数多く生息しているが、人間がその姿を見ることはほとんどない。地下1メートル、長さ150メートルを超えるトンネルを掘ってできた砂の山が、彼らの存在に気づく唯一の手掛かりであることが多い。
ホリネズミは新しいトンネルを掘りながら、その途中で見つけた根を食べてお腹を満たしていると考えられてきた。しかし、トンネルを掘る作業は、ただ地上を歩くのと比べて300~3000倍もエネルギーを消費する。トンネルを掘りながら見つけた根を食べるだけでは、その消費分を補うことはとても無理だと、研究者たちは言う。
では、ホリネズミはほかにどのようにして十分なエサを手に入れているのだろうか。プッツ氏とセルデン氏は、フロリダ州北部の草原でナントウホリネズミの行動を観察した。トンネル網の一部を隔離して、ホリネズミが中に入れないようにしたところ、トンネル内では柔らかく消化しやすい根が上からも下からも新しく生えてきて、トンネルの壁を覆っていった。
しかも、ホリネズミはその根が成長しやすいように、積極的に手入れをしているようだと、研究者たちは言う。長いトンネル網を維持管理することによって、根の成長に最適な湿気のある環境が作られる。トンネル掘りでほぐされた土に空気が含まれ、新たな植物も根付きやすい。
また、他の種のホリネズミは排泄する場所を決めていることが多いが、ナントウホリネズミの場合トンネル内の全体に排泄する点も特徴的だ。
<全文はこちら>
![]() | ホリネズミが「農業」、地下トンネルで作物を育て食料に、研究 …る。 「ナントウホリネズミは、植物の成長を助け、土壌を改善し、農作物の管理を行っています。農作物の管理を農業と呼ぶならば、ホリネズミは農業を営んでいる… (出典:ナショナル ジオグラフィック日本版) |
コメントする