舌をチロチロと動かすトウブガーターヘビ(米メイン州アーカディア国立公園で撮影)。環境にある化学物質を感知するための行動だ。(PHOTOGRAPH BY GEORGE SANKER, NATURE PICTURE LIBRARY)
「これは自己認知の証拠」と研究者、「化学的な鏡に相当」には異論も
ヘビの行動を研究する科学者はしばしば、ある難しい問題に直面する。それは、どうすれば爬虫類の心を知ることができるだろうか、というものだ。
霊長類は身振り手振りで、ゾウは鼻で、カラスはくちばしで、実験に対して特定の反応を示すことができる。しかし、ヘビはどうだろうか。
そこで研究者が考案したのが、ヘビの強みである嗅覚を生かした実験だ。
ヘビは、においという化学的な合図を頼りに獲物を認識し、捕食者から逃がれ、交尾相手を探し、生息地を移動する。主嗅覚に加えて、彼らは舌をチョロチョロと動かして、性フェロモンなどの合図を口蓋にある特殊な器官へと運び、交尾相手の存在に気づいたりできる。
北米に広く生息するトウブガーターヘビ(Thamnophis sirtalis)に関する最近の研究によって、彼らは自身が出す化学的な合図と、同じ餌を与えられた同腹の個体が出すそれとを識別できることがわかった。研究を主導した米テネシー大学ノックスビル校の倫理学者・比較心理学者のゴードン・バーグハルト氏は、「これは自己認知の証拠であり、自分の鏡像を認める行為のヘビ版と言えます」と述べている。
鏡に映った自分の姿を認知することは高度な能力と考えられており、チンパンジー、オランウータン、イルカなど、ごく一部の種のみで確認されている。
己を知るということ
2021年9月22日付けで学術誌「Behaviour」に発表された研究においてバーグハルト氏らは、研究室で生まれたガーターヘビの同腹仔24匹を対象に実験を行った。
ヘビたちは生まれたときから個別のケージに入れられ、それぞれ魚のみ、あるいはミミズのような細長い蠕虫(ぜんちゅう)のみの餌を与えられた。こうすることにより、ヘビたちの糞を化学的に区別できるようになる。
ヘビが生後4カ月になると、研究チームは個々のヘビを4種類の刺激にさらしてみた。自分のケージの汚れた敷物、同じ餌を与えられた同性個体のケージの汚れた敷物、違う餌を与えられた同性個体のケージの汚れた敷物、清潔な敷物の4つだ。
実験の最中、科学者らは、ヘビの舌の動きの割合と、ケージ内での全体的な動きを計測した。
同じ餌を与えられた同腹仔のケージの汚れた敷物にさらされた場合には、自分のケージの汚れた敷物と比べて、ヘビが舌を動かす回数は少なかった。つまり、差があった。
この行動は、ガーターヘビが、ほかの個体とは異なる自分自身の化学的な合図を認知できており、それは同じ餌を与えられている近縁の個体が相手であっても変わらないことを示していると、バーグハルト氏は述べている。
異なる解釈
約50年前に米国の心理学者ゴードン・ギャラップ氏らが考案した「ミラーテスト」は、現在も多くの自己認知研究における標準となっている。
研究者はまず、動物の体の、鏡に映った姿でしか見えない場所に印をつける。もしその動物が鏡を見て、次に自分の体についた印に触ったり、それを目で確認したりすれば、テストに成功したことになる。
人間は幼児のうちにこのテストに成功することが多く、またチンパンジー、オランウータン、ボノボといった類人猿も自分を認知できる。ゾウやイルカなど、類人猿以外の一部の動物にもその能力があると言われる。
ギャラップ氏らはしかし、人間と類人猿以外の種での鏡を使った自己認知の証拠には懐疑的だ。氏らはまた、においなどの化学物質を使用し、ミラーテストと同等であると主張する視覚以外の自己認知研究についても批判している。
ギャラップ氏の共同研究者のひとりである京都大学の心理学者ジェイムズ・アンダーソン氏は、たとえバーグハルト氏の研究においてヘビが化学物質による自己認知を示したとしても、それは類人猿や人間が鏡に映った自分の姿を認識するのと同じではないとしている。
塗り替えられるヘビのイメージ
ヘビが学習し、場に適応し、友達まで作れるという考えを裏付ける研究が、次々と発表されている。
たとえば、科学者らは、ガラガラヘビの仲間であるノーザンパシフィックガラガラヘビが、狩りの前に邪魔になる枝をどかし、獲物を待ち伏せしやすいように環境を作り変えていると思われる行動を記録している。また、トウブガーターヘビには個性があり、特定の個体との交流を好むことが示されている。最近の研究では、ダイヤガラガラヘビのオスは、毎年同じ巣穴を見つけてそこに留まること、ヨコシマガラガラヘビの若い個体や妊娠中のメスは、近い親戚と「ぴったりと寄り添う」のを好むことがわかっている。
<全文はこちら>
ヘビだって「自分」がわかる、においで検証、続々と明らかになるヘビの謎 …とができる。しかし、ヘビはどうだろうか。 そこで研究者が考案したのが、ヘビの強みである嗅覚を生かした実験だ。 ヘビは、においという化学的な合図を頼… (出典:ナショナル ジオグラフィック日本版) |
<ツイッターより>
(出典 @ktmhsqtm)Josh Randall
@ktmhsqtmヘビだって「自分」がわかる、においで検証、続々と明らかになるヘビの謎(ナショナル ジオグラフィック日本版)#Yahooニュース https://t.co/RPvxeTV8nR
(出典 @murmurmia)μia tαkeδa
@murmurmiaヘビも「自分」がわかる、続々と明らかになるヘビの謎 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト https://t.co/QIoo0I6Qi4 自分のにおいと他個体のにおいで反応が違うからって,区別ができることと自己意識があることの間にはやっぱり隔たりがあるよなあ
(出典 @tatsuya121212y)竜也,Y
@tatsuya121212yヘビには自覚性がありコミュ力を持っている。ヘビって抱っこすると冷たくて気持ち良いねヘビだって「自分」がわかる、においで検証、続々と明らかになるヘビの謎(ナショナル ジオグラフィック日本版)#Yahooニュースhttps://t.co/1K1fW9GoSA
(出典 @rougaikujyosiro)人間社会ドロップアウト 現代に対応できてない老害予備軍
@rougaikujyosiro高等生物の特長のように言われてたが実際はショジシテル単なる個性の可能性があるというわけか。ヘビだって「自分」がわかる、においで検証、続々と明らかになるヘビの謎(ナショナル ジオグラフィック日本版)#Yahooニュースhttps://t.co/OTMp6BSMUP
(出典 @yuk1ch111)ゆきち
@yuk1ch111へぇーーー!ヘビってにおいで……へぇ〜〜〜〜なるほどね!!!!!!!!😊😊😊😊😊
(出典 @hebi_mochi)もち@ヘビの正面顔愛し隊
@hebi_mochi面白い記事だった。1番最後の言葉、蛇飼いとして凄く嬉しい。ヘビだって「自分」がわかる、においで検証、続々と明らかになるヘビの謎(ナショナル ジオグラフィック日本版)#Yahooニュースhttps://t.co/1MLJPMUAvu
コメントする