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恐竜の絶滅は春に始まった、小惑星が地球に衝突した6600万年前の季節をついに特定約6600万年前に恐竜の時代を終わらせた小惑星の衝突は、北半球の春に起きた可能性が高いことが、衝突後1時間以内に死んだと思われる魚の化石を分析することで判明した。この化石は米国のノースダコタ州で見つかった。
2月23日付けで学術誌「ネイチャー」に発表された論文によれば、化石の骨に残る成長パターンから、魚は餌が豊富になって成長が加速した時期に死んだことがわかるため、衝突の季節は春だったと推定される。近年、この衝突が最悪のシナリオをたどった可能性を示唆する証拠が集まってきているが、今回の発見もそうした証拠の1つだ。 白亜紀末に直径10キロメートルのチクシュルーブ小惑星が現在のメキシコ沖に衝突し、地球上の生物種の75%以上が死滅した。この衝突により、想像を絶するような大地震が発生し、高さ50メートル以上の津波が北米の海岸に襲いかかった。衝突による噴煙と、それに続いて大量に降り注いだ高温の破片によって山火事が発生し、衝突地点から数百~数千キロ離れた場所まで燃え広がった。
時間の中で凍った魚
今回の論文は、米国ノースダコタ州のタニスで見つかった大量のチョウザメとヘラチョウザメの化石に関する最新の研究成果だ。魚のエラに入り込んだ破片は、魚たちが小惑星の衝突から約1時間以内に死んだことを示唆している。2019年に米誌「ニューヨーカー」に掲載された記事によると、タニスからは、まだ学術誌に発表されていない化石が他にも多く発見されているという。
2017年にオランダ、アムステルダム自由大学の修士課程の学生だったデュアリング氏は、同大学の古生物学者ヤン・スミット氏と、タニスの発掘調査を指揮していた古生物学者のロバート・デパルマ氏を含むチームとともにタニスを訪れた。
スミット氏によると、北米のこの地域は6600万年前には、氾濫原を流れる川が刻んだ深さ10メートル以上の谷だったという。小惑星の衝突が引き起こした強力な地震は、15~30分後にはタニスにも到達した。この地震によって内海の水が川を逆流し、水中にあったあらゆるものが土に埋もれた。
一方、小惑星の破片は空高く舞い上がって大気圏に到達し、ガラス状の小さな塊になった。「テクタイト」と呼ばれるこの粒子は、衝突から約15分後に地上に降り注ぎはじめた。驚くべきことに、タニスの堆積物には、上空から地上に落ちてきたテクタイトが地面にめり込んでできた穴が今でも残っている。テクタイトは魚のエラにも入り込んでいるが、消化管や体内には見当たらないことから、魚はテクタイトが川に降り注ぎはじめた直後に死亡したと考えられる。
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