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その「残酷な方法」とは
「寄生生物」と呼ばれる彼らが、ある時は自分より大きな宿主を手玉に取り翻弄して死に至らしめ、またある時は相手を洗脳して自在に操る様は、まさに「えげつない!」。 そんな寄生者たちの生存戦略を共生細菌、感染症、ワクチンの研究を行ってきた理学博士の成田聡子氏が執筆した『えげつない! 寄生生物』から紹介する。
「寄生バチ」に襲われ脳細胞を破壊された僕――あるテントウムシの物語
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僕は昆虫界の愛されキャラクター、テントウムシだ。ゴキブリなんて同じ昆虫でも世界中で嫌われているのに、僕たちは多くの人に好かれている。
この真ん丸で赤い背中に斑点という姿が好感を呼ぶのかもね。
僕たちは英語では「Ladybug:レディーバグ」なんて呼ばれているんだ。
僕はオスだけど、それでもLady(レディー)が付くよ。しかも、この Lady は聖母マリアっていう意味なんだ。僕たちは人間の農作物を荒らすアブラムシをたくさん食べるから、人間たちにとっては聖母みたいな存在なのかな。
人間たちは僕たちを見つけると、「かわいいー」なんていうけど、こう見えても僕たちはとっても防衛能力が高いんだ。
この赤や黒のきれいな斑点は、鳥たちにとっては警戒色だから気持ち悪がって僕たちを食べようとはしない。もちろん、僕たちを食べようとして、口に入れる動物もいるけど、その時は脚の関節から強い異臭と苦味がある有毒な黄色い液体を出してやるんだ。そうすると、僕たちを食べた動物はあまりのまずさにすぐに吐き出すし、次から僕たちを狙わなくなる。
テントウムシはさまざまな防衛手段を持っていますが、寄生バチにはまんまとやられてしまうことがあります。テントウムシに寄生するのは、テントウハラボソコマユバチという寄生バチです。名前に「テントウ」と入っているのを見て、ピンとくるかもしれませんが、この寄生バチはテントウムシにしか寄生しません。体長わずか3ミリほどです。
テントウハラボソコマユバチのメスは産卵できるようになると、まずテントウムシを探します。そして、テントウムシを見つけると、最初に麻酔を打ちこみ、その後、テントウムシの脇腹に卵を一つ産み付けていきます。
卵から出てきたテントウハラボソコマユバチの幼虫はテントウムシの体に入り込みます。そして、テントウムシの体液を吸って大きく成長していきます。その間、寄生されたテントウムシの体は少しずつ蝕まれていきますが、外見や行動に変化はなく普段と同じように生活します。
テントウムシの体内で体を食べに食べまくって約3週間後、テントウムシの半分以上の大きさになったハチの幼虫はテントウムシの外骨格の割れ目からゆっくりと這い出してきます。こんなにも大きなハチの幼虫に体内を食い荒らされていたテントウムシは、それでもなお30~40パーセントは生きています。その理由は、寄生バチの幼虫が、生死に直接影響しない脂肪などの組織を重点的に食べているからだと考えられています。
寄生されたテントウムシの末路
体内を巨大なハチの幼虫に食い荒らされ、そのうえ1週間も飲まず食わずで蛹のボディーガードをしていたテントウムシは、そろそろ死んでしまうのではないかと想像できます。しかし、信じられないことに寄生されたテントウムシの4分の1が最終的に元の生活に戻ります。そして、その奇跡の生還をしたテントウムシの一部は、再びテントウハラボソコマユバチに寄生される可能性もあるという皮肉な結果になるのです。
どうやってテントウムシを操るのか
寄生されたテントウムシは寄生バチの幼虫が体から出てからもなお自分の意思とは関係なく寄生バチを守ろうとします。体内に寄生している状態であればマインドコントロールされてしまうのもわかりますが、体内に寄生バチがいなくなってからもマインドコントロールは続きます。 なぜこのようなことが起こるのか、最近まで不明なままでした。しかし、2015年の論文で、その謎の一部がわかってきました。なんと、寄生バチは麻酔物質と一緒に脳に感染するウイルスをテントウムシに送り込んでいたのです。
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![]() | 【戦慄の寄生虫】“テントウムシの身も心も洗脳”するハチ その「残酷な方法」とは 寄生されたテントウムシは寄生バチの幼虫が体から出てからもなお自分の意思とは関係なく寄生バチを守ろうとします。体内に寄生している状態であればマインド… (出典:デイリー新潮) |
<ツイッターより>
(出典 @hyuhyupowpow)
いわんだやまねこ
@hyuhyupowpow【戦慄の寄生虫】“テントウムシの身も心も洗脳”するハチ その「残酷な方法」とは(デイリー新潮)#Yahooニュースhttps://t.co/NjSbnhRFEA Eテレで🐞が可愛いだけじゃ無くて割と無敵昆虫🛡⚔ってのを見たよ😃… https://t.co/8DT2HYSk06
(出典 @higedouraku)
ヒゲさん(ひげさん)
@higedouraku寄生バチに内臓食われたテントウムシが一定数生き残るって以前ダーウィンでやってたけど、ハリガネムシにやられたカマキリは基本全滅なのかな?それとも一定数は陸地に戻って助かるのかしら?
(出典 @Yamakei_ikimono)
山と溪谷社いきもの部
@Yamakei_ikimono本に書いてある「テントウムシに寄生するハチ」を探したら本当に見つかった・・・という話をnoteに書きました(オサム) https://t.co/NkWkDlYZKy
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