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毒で人間さえ殺すヒアリの「意外な天敵」の正体
その毒は人や家畜を殺し、かつてのアメリカでは年間60億ドルもの経済的損失を与えた猛毒生物「ヒアリ」。実はこの非常にたちの悪い侵略生物にも「天敵」がいる。その意外な正体とは?
■ヒアリの天敵「タイコバエ」
ハエの悪魔といえば、小説家ウィリアム・ゴールディングはその代表作で、狩られたブタの生首とそこから飛び立つハエの群れを、人間の内面に潜む悪魔になぞらえて「蠅の王」と表現しているが、このハエはそれよりもずっと直接的に悪魔であるといえる。なにしろ、その悪魔は、現実にヒアリの首を狩り、そこから飛び立つのだ。
そのハエの名をタイコバエという。南アメリカ大陸を原産地とし、ヒアリに寄生するノミバエの仲間だ。寄生といっても、最後には宿主を殺してしまうので、その性質は捕食に近く「捕食寄生」と呼ばれる。
タイコバエは匂いをたよりにヒアリの巣にやってくる。そしてアリの頭上でホバリングして隙をうかがい、ハイスピードカメラにしか写らないような電光石火の突撃で、アリの胸部に産卵管を差し込み、素早く卵を産みつける。
アリも巣穴に逃げ込んだり動きを止めてやり過ごそうとしたりするが、ハエはアリに対して1時間に100回以上も執拗に突撃を仕掛け、約3割の確率で産卵を成功させるという。
卵を産みつけられたアリはすぐに死にはしない。卵からふ化した幼虫は急速に成長し、2齢になるとすぐにアリの胸部から首を通って頭部に入り込む。幼虫が頭の中に入り込んでも、アリは生きたまま仲間たちと一緒に過ごしている。ただし、あまり餌を採りにはいかなくなり、攻撃性も低下するようだ。
おそらく、幼虫が宿主の体内でなんらかの化学物質を放出し、その行動を変化させているのだろう。アリは餌を採りにいかなくても、仲間から食べ物を分けてもらえる。宿主がエネルギーを浪費しなければ、寄生虫が成長を遂げられる可能性はより高くなる、というわけだ。
アリの頭部でいよいよ3齢(終齢)にまで成長すると、幼虫は酵素を使って自分が入っているアリの頭部を切り落とす。そして、地面に落ちた頭の中で脳などの内容物を食べ尽くして蛹(さなぎ)になる。さすがに頭が落ちればアリは死に、その死体は仲間によって巣の外に捨てられるが、このときハエの蛹もアリの頭部と一緒に外に運ばれる。
そして、蛹になってから2~6週間後、蛹からハエの成虫が羽化し、アリの頭部を突き破って外界に出現し、交尾と産卵のために飛び去るのだ。タイコバエの成虫の寿命は3~5日だが、その間に1匹の雌が200匹近くものアリに卵を産みつけるという。
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| 毒で人間さえ殺すヒアリの「意外な天敵」の正体 …。ただしそのハエは、もしヒアリたちがものを言えたなら、「悪魔」と呼ぶにちがいない、そんな存在だ。 ■ヒアリの天敵「タイコバエ」 ハエの悪魔といえば… (出典:東洋経済オンライン) |











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